請求書らくらく読取 マニュアル
1. アプリケーション概要
「請求書らくらく読取」は、請求書をスキャンまたはPDF化したファイルから最新のAI技術(Google Gemini API)を使用して情報を自動抽出するツールです。請求書の管理や経理処理の効率化を目的としており、特に以下の特徴があります。
高精度OCR処理
最新のAI技術を活用した高精度の光学文字認識(OCR)機能により、請求書から正確な情報を抽出します。
編集機能
抽出したテキストデータはアプリ上で編集可能です。編集した内容を保存やエキスポートすることもできます。
カスタマイズ可能な項目抽出
抽出する項目や表示形式をカスタマイズでき、お客様の業務フローに最適化できます。
Excel/CSVエクスポート
抽出した情報を Excel や CSV 形式でエクスポートし、会計ソフトや他のシステムと連携できます。
電子帳簿保存法命名ルール対応
電子帳簿保存法に対応したファイル名を自動生成し、法的要件を満たしたデータ管理をサポートします。
マルチスレッド並列処理
複数の請求書を同時に処理できる並列処理機能により、大量の請求書も効率的に処理できます。
2. システム要件
項目 | 要件 |
---|---|
対応OS | Windows 10/11 (64Bit) |
メモリ | 4GB以上推奨 |
ストレージ | 最低500MB以上の空き容量 |
インターネット接続 | Gemini API利用のため必須 |
Gemini APIキー | 設定画面で設定が必要 |
3. セットアップ
インストール手順
- 画面の指示に従ってインストールを完了します
- アプリケーションを起動します
- 初回起動時に設定画面が表示されるので、Gemini APIキーを設定します。Gemini APIキーを初めて取得される方は以下の手順に従ってください。
Gemini APIキーの取得方法
Gemini APIキーは以下の手順で取得できます。
Google AI Studio にアクセス
- ウェブブラウザで Google AI Studio にアクセスします
- Googleアカウントでログインします(アカウントをお持ちでない場合は新規作成してください)
APIキーを作成
- 画面右上のプロフィールアイコンをクリックし、「設定」を選択します
- 「Get API Key」ボタンをクリックします
- 「APIキーを作成」ボタンをクリックします
- キーの名前(例: 「請求書らくらく読取用」)を入力します
- 「作成」ボタンをクリックします
APIキーをコピー
- 生成されたAPIキーが表示されます
- 「コピー」ボタンをクリックしてキーをコピーします
アプリケーションに設定
- コピーしたAPIキーを「請求書らくらく読取」の設定画面「API」タブの「Gemini APIキー」欄に貼り付けます
利用制限の確認と有料枠について
- Google AI Studio の「使用状況」タブで、現在の利用状況と制限を確認できます
- 無料枠では一定量の利用が可能ですが、大量の請求書を処理する場合は有料プランへのアップグレードが必要になる場合があります
- 無料枠では送信したデータがAIの学習に使われる可能性があるため(「Gemini API追加利用規約」参照のこと)、機密保持のためには有料プランへのアップグレードをお薦めします
- 有料プランへのアップグレードはこちらのページで「有料版プランにアップグレードする」ボタンを押して手順に従ってください
APIキーのセキュリティ
- APIキーはアカウントに紐づいており、漏洩した場合、不正利用されてしまう可能性があるため、第三者と共有しないでください
- 万が一キーが漏洩した場合は、Google AI Studio の設定画面から古いキーを削除し、新しいキーを生成してください
APIキーは秘密情報として管理してください。キーが漏洩すると、第三者があなたのアカウントを使用してGemini APIにアクセスする可能性があります。
4. 基本操作
請求書ファイルの追加
請求書ファイルを追加するには複数の方法があります
ファイルを追加
「ファイル追加」ボタンをクリックし、「ファイルを選択」を選択します。
対応形式: PDF, PNG, JPG, JPEG, GIF, TIF, TIFF, BMP
フォルダから追加
「ファイル追加」ボタンをクリックし、「フォルダを選択」を選択します。フォルダ内の対応形式ファイルをすべて追加します。サブフォルダも読み込むことが可能です。
ドラッグ&ドロップ
ファイルやフォルダをエクスプローラーからアプリケーションウィンドウに直接ドラッグ&ドロップします。
ファイルリストの操作
- ファイル選択: リスト内のファイルをクリックして選択
- 複数選択: Ctrlキーを押しながら複数のファイルをクリック、またはShiftキーを使用して範囲選択
- 全選択: Ctrl+A
- ファイル削除: 選択したファイルをDeleteキーで削除
- ファイル並べ替え: ファイルをドラッグ&ドロップで並べ替え
処理実行
- ファイルを追加した後、「全件処理開始」ボタンをクリックします
- 処理状況はプログレスバーとステータスバーで確認できます
- 処理中はアプリケーションの他の操作が制限されます
- 個別ファイルを選択して右クリックメニューから「処理」を選択することもできます
- 処理が完了すると各ファイルのステータスが「完了」に変わります
ヒント: 処理には1ファイル当たり数十秒~数分かかる場合があります。ファイルサイズや画像の品質によって処理時間は変わります。
処理結果の確認と編集
- 処理完了後、ファイルリストからファイルを選択すると右側のパネルに結果が表示されます
- 左側には請求書の画像プレビュー、右側には抽出結果が表示されます
- 抽出された値はデータグリッドに表示され、直接編集が可能です(誤認識の修正など)
- 信頼度によって色分けされています
- 青色: 高信頼度(75-100%)- 精度が高い項目
- オレンジ色: 中信頼度(50-74%)- 確認推奨の項目
- 赤色: 低信頼度(0-49%)- 確認が必要な項目
5. 詳細機能
処理結果の保存/読み込み
OCR処理結果を保存し、後で再利用することができます。
結果の保存
- 「処理結果保存」ボタンをクリック
- 保存先とファイル名を指定(デフォルト形式: JSON)
- 「保存」ボタンをクリック
結果の読み込み
- 「処理結果読み込み」ボタンをクリック
- 以前保存したJSONファイルを選択
- 「開く」ボタンをクリック
ヒント: 大量の請求書の場合は、処理結果を保存しておくと便利です。次回からは読み込むだけで即座に結果を利用できます。
検索機能
請求書データ内で特定の情報を検索できます
- 「検索」ボタンをクリック
- 検索キーワードを入力
- 検索対象項目を選択(既定: すべての項目)
- 「下検索」ボタンで検索結果を順番に表示
- 一致したファイルと項目がハイライト表示されます
バッチ処理
複数のファイルを一括処理する機能
- 「全件処理開始」ボタンで未処理のファイルをすべて処理
- 処理の進捗状況はプログレスバーで表示
- 同時処理数は設定で変更可能(デフォルト:1)
- 処理中にキャンセルする場合は「キャンセル」ボタンを使用
注意: 同時処理数を増やすとメモリ使用量が増加します。PCのスペックに応じて適切な値を設定してください。
読み取り結果のエクスポート
- 「エクスポート」ボタンをクリック(ショートカット: Ctrl+E)
- エクスポート設定ダイアログが表示されます
- 形式(Excel/CSV)や出力項目などを選択
- 「エクスポート」ボタンをクリック
6. プレビューと画像操作
画像プレビュー
- 左側のパネルに請求書の画像プレビューが表示されます
- ファイルリスト上でファイルを選択するとプレビューが更新されます
- PDFファイルは自動的に画像に変換されてプレビュー表示されます
画像ビューワー
プレビュー画像をクリックすると、拡大表示と回転機能を備えた画像ビューワーが開きます
ズーム操作
- ホイールスクロール: 拡大/縮小
- 「+」ボタン: 拡大
- 「-」ボタン: 縮小
- 「元のサイズ」ボタン: 100%表示
回転操作
- 「左回転」ボタン: 左に90度回転
- 「右回転」ボタン: 右に90度回転
その他の操作
- ドラッグ: 画像の移動
- ダブルクリック: フルスクリーン表示の切り替え
- ESC: ビューワーを閉じる
7. 設定
「設定」ボタンをクリックして、アプリケーションの様々な設定を変更できます。
基本設定
- 日付形式: 抽出された日付の表示形式を選択
- 金額形式: 抽出された金額の表示形式を選択
API設定
- Gemini APIキー: Google Gemini APIの認証キー
- API Model: 使用するAIモデル
APIモデルの種類と特徴
モデル名 | 特徴 | 推奨用途 |
---|---|---|
gemini-2.0-flash | ・高速応答 (処理時間: 約5-10秒/請求書) ・軽量処理(APIコスト効率が良い) ・請求書の基本情報を正確に抽出 ・同時処理数を多く設定可能 | ・大量の請求書を効率よく処理したい場合 ・標準的なフォーマットの請求書処理 ・基本的な請求書情報の抽出 ・デフォルト推奨 |
gemini-2.0-flash-lite | ・超高速応答 (処理時間: 約3-7秒/請求書) ・最小リソース消費(最も低コスト) ・基本項目のみの抽出に特化 ・複雑な分析は苦手 | ・大量の単純な請求書の高速処理 ・定型フォーマットの請求書 ・予算を最小限に抑えたい場合 ・少数の重要項目のみ抽出する場合 |
gemini-1.5-pro | ・安定した認識精度 ・処理時間は中~長め (約15-25秒/請求書) ・複雑なレイアウトにも対応 ・多言語対応が強化されている | ・外国語表記の請求書 ・レイアウトが複雑な請求書 ・安定性を重視する場合 ・gemini-2.0シリーズで問題が発生した場合 |
gemini-1.5-flash-8b | ・軽量モデル (8Bパラメータ) ・最も処理速度が速い (約2-5秒/請求書) ・シンプルな認識タスク向け | ・単純な構造の請求書のみを処理 ・最も高速な処理が必要な場合 ・項目数が少ない定型請求書向け |
ヒント: 通常の業務では gemini-2.0-flash がバランスが良く推奨されます。大量の請求書を短時間で処理する必要がある場合は gemini-2.0-flash-lite を、外国語請求書や複雑なレイアウトには gemini-1.5-pro を選択してください。モデルはいつでも設定画面から変更できます。
勘定科目設定
- 勘定科目リストのカスタマイズが可能
- 追加・削除・並べ替えに対応
- 経理システムに合わせた科目の設定が可能
- 抽出する請求書項目のカスタマイズ
- 項目の表示/非表示の設定
- 表示順序の変更
- 抽出プロンプトの調整
ファイル名
- ファイル名形式: 電子帳簿保存法に対応したファイル名形式の設定
- 処理完了後に自動変換: 処理後に自動的にファイル名をリネームするかどうかを選択
ヒント: 電子帳簿保存法対応のファイル名形式を使用すると、ファイル管理が容易になります。
8. エクスポート機能
以下の形式でエクスポートできます:
Excel (XLSX)
- 整形されたスプレッドシート
- カスタマイズ可能なシート名
- セル書式の適用(日付、金額など)
CSV
- 汎用的なカンマ区切りテキスト
- 文字コード選択(UTF-8, Shift-JIS)
ヒント: 会計ソフトに取り込む場合は、そのソフトが対応している形式(通常はCSV)と必要な項目を選択してエクスポートしてください。
9. 勘定科目について
勘定科目は請求書の内容から自動的に推測され、以下のカテゴリに分類されます
費用科目
- 仕入高:商品やサービスの仕入れに関する費用
- 消耗品費:オフィス用品や事務用品など消耗品の購入費用
- 外注費:業務を外部に委託した際の費用
- 広告宣伝費:広告や宣伝活動に関する費用
- 通信費:電話やインターネットなどの通信に関する費用
- 水道光熱費:水道、電気、ガスなどの費用
- 支払手数料:振込手数料など各種手数料
- 修繕費:備品や設備の修理・メンテナンス費用
- 荷造運賃:配送料や運送費用
- 旅費交通費:出張や移動に関する費用
- 支払家賃:オフィスなどの家賃
- 会議費:会議や打ち合わせに関する費用
資産科目
- 備品:事務用機器や備品
- 工具器具備品:業務用の工具や備品
- ソフトウェア:ソフトウェアの購入費用
勘定科目は手動で編集することができ、コンボボックスから勘定科目を選ぶことも可能です。このコンボボックスに表示される勘定科目は設定画面で定義できます。
10. キーボードショートカット
効率的な操作のためのショートカットキー
ファイル操作
ショートカット | 機能 |
---|---|
Ctrl+O | 請求書ファイルを追加 |
Ctrl+Shift+O | フォルダから請求書ファイルを追加 |
Ctrl+S | 処理結果を保存 |
Ctrl+L | 処理結果を読み込み |
Ctrl+E | エクスポート |
Ctrl+N | 全てクリア |
Delete | 選択ファイルを削除 |
Ctrl+F | 検索 |
処理操作
ショートカット | 機能 |
---|---|
Ctrl+R | 全件処理開始 |
ナビゲーション
ショートカット | 機能 |
---|---|
Alt+← | 前のファイルを選択 |
Alt+→ | 次のファイルを選択 |
Home | 最初のファイルを選択 |
End | 最後のファイルを選択 |
Ctrl+A | 全てのファイルを選択 |
その他
ショートカット | 機能 |
---|---|
F1 | ヘルプを表示 |
Ctrl+F1 | ショートカットキー一覧を表示 |
F12 | バージョン情報を表示 |
Esc | ダイアログを閉じる |
11. トラブルシューティング
一般的な問題と解決策
問題 | 対処方法 |
---|---|
起動しない | .NET 9.0ランタイムがインストールされているか確認。システム要件を満たしているか確認。 |
処理がエラーになる | Gemini APIキーが正しく設定されているか確認。インターネット接続を確認。 |
PDFファイルが表示されない | PDFファイルが破損していないか確認。別のPDFビューワーで開けるか確認。 |
抽出精度が低い | 鮮明な画像で再試行。スキャン解像度を上げる(300dpi以上推奨)。APIモデルを別のものに変えてみる。 |
「APIキーが無効」エラー | 設定画面でAPIキーを確認・再設定。Google AI Studioでキーの有効性を確認。 |
処理が遅い | 同時リクエスト数を調整。ファイルサイズが大きい場合は処理に時間がかかります。 |
クラッシュする | 大量のファイルを処理する場合はメモリ不足の可能性。少量ずつ処理を試みる。 |
エラーメッセージと対処法
エラーメッセージ | 意味 | 対処法 |
---|---|---|
「APIキーが無効です」 | Gemini APIキーが間違っているか期限切れ | 設定画面でAPIキーを再設定 |
「ネットワークエラー」 | インターネット接続に問題がある | ネットワーク接続を確認、プロキシ設定を確認 |
「PDF変換エラー」 | PDFファイルの読み込みに失敗 | PDFが破損していないか確認、別形式でスキャンし直す |
「メモリ不足」 | 使用可能なメモリが足りない | 他のアプリを閉じる、少ないファイル数で再試行 |
「タイムアウト」 | API応答待ちでタイムアウト | インターネット接続を確認、再試行する |
「バッチ処理エラー」 | 複数ファイル処理中にエラー発生 | ログを確認、問題のファイルを特定して個別に処理 |
バックアップとリカバリ
- アプリケーションは処理セッションを自動的にバックアップします
- クラッシュ時には、前回のセッションからの復元オプションが表示されます
- 重要なデータは定期的に「処理結果保存」機能で保存することをお勧めします
ヒント: 長時間の作業中は定期的に結果を保存することで、万が一の際にもデータを失うリスクを減らせます。
12. よくある質問(FAQ)
使用方法について
どのようなファイル形式に対応していますか?
PDF、PNG、JPG、JPEG、GIF、TIF、TIFF、BMP、WEBPに対応しています。鮮明な画像ファイルを使用すると、より高い精度が期待できます。
複数ページのPDFに対応していますか?
対応しておりません。1ページに1請求書のPDFファイルにのみ対応しています。
手書き文字の請求書は読み取れますか?
はい、読み取り可能です。ただし、活字のものに比べると読み取り精度が落ちる傾向があります。
無料版と有料版の違いは?
無料版は複数の請求書の読み取りに対応していません。有料版は複数の請求書を一括して処理できます。読み取り精度に違いはありません。
請求書の画像が上下逆さまだったり、傾いていても処理できますか?
処理可能です。
技術的な質問
勘定科目はどのように決定されますか?
請求書の内容(請求元名や項目内容など)を分析し、AIが最適な勘定科目を推測します。手動で修正することも可能です。
インターネット接続が必要ですか?
はい、OCR処理にはGemini APIを使用するため、インターネット接続が必要です。処理中はサーバーとの通信が発生します。
データはどこに保存されますか?
処理結果はローカルに保存され、サーバーには送信されません。ただし、OCR処理中は画像がGemini APIに送信されます。個人情報や機密情報については、Googleのプライバシーポリシーに従って取り扱われます。
抽出精度を上げるためのコツはありますか?
以下の点に注意すると精度が向上します
・鮮明なスキャン画像を使用する(300dpi以上推奨)
・請求書全体が写っていることを確認する
・影や折り目がないようにする
・設定画面の「請求書項目」タブの「抽出指示」をより具体的なものに変更する
13. 技術サポート
問題が解決しない場合は、以下のページから問い合わせを行うことが可能です。
14. ライブラリ一覧
請求書らくらく読取は以下のオープンソースライブラリを使用しています。
- PDFsharp – PDF生成・編集・分割操作 (MIT)
- PdfiumViewer – PDFファイルの表示・レンダリング (Apache 2.0)
- PdfiumViewer.Native.x86_64.v8-xfa – PDFiumエンジンのネイティブバインディング (Apache 2.0)
- SkiaSharp – 高性能2Dグラフィックス処理 (MIT)
- ClosedXML – Excel形式ファイルの読み書き (MIT)
- System.Drawing.Common – 基本的な画像処理・描画機能 (MIT)
- System.Text.Encoding.CodePages – 追加エンコーディングのサポート (MIT)
- System.Threading.Channels – 非同期メッセージングとデータパイプライン (MIT)
- Microsoft.Extensions.Http – HTTPクライアント管理 (MIT)
- Microsoft.Extensions.DependencyInjection – 依存性注入とサービスコンテナ (MIT)
- Microsoft.Extensions.Hosting – アプリケーションホスティング基盤 (MIT)
- Microsoft.Extensions.Http.Polly – HTTPリクエストの再試行ポリシー (MIT)
- Microsoft.Extensions.ObjectPool – オブジェクトプーリングによるメモリ最適化 (MIT)
- System.IO.Pipelines – 高性能なメモリ効率の良いI/O処理 (MIT)
- System.Text.Json – 高性能なJSON処理 (MIT)